さよならさえも、下手だった


ぼさっと突っ立っている私を瞬間、彼の鋭い目が捕らえる。



バン、と乾いた音がして、少しだけ自分の肩が震えた。

でも、もう死ねる。
生まれ変われる。

そう思ったけれどその弾丸は私を通り越して後ろの壁に当たっていた。


「お前、逃げろ」

言われた言葉が頭の中に入ってこない。

「俺の銃はもう弾切れで、お前を殺せない。だからさっさと逃げろ」

それでも私は動けなかった。


両親が死んでしまったことより、

私を殺しそうな人が目の前にいることより、

その人が私に逃げろと指示していることより、


死を恐れた自分が。
恐ろしくて。


「おい、聞いてんのか」


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