さよならさえも、下手だった
目が覚めると体中がぎしぎしと不自然に痛んだ。
覆いかぶさるように私を包む、骨ばった腕。
それが夜十のものだと気づいたとき、ようやく昨夜の記憶がよみがえった。
どうやらあのまま眠ってしまったらしい。
私たちは布団も掛けずにベッドに寝転がっていた。
少し離れた所に置かれた夜十の銃が、底冷えするような鈍い光を放つ。
もしもこれを手にとって自分の額を打ち抜いたなら、どんなにか楽になれることだろう。
いけない考えが頭をよぎって、自然と手が銃に伸びる。
もう少しで届きそうな所で、
「音都」
びくりと体が強張った。
視線を戻すと、いつからだったのか夜十はもうすっかり目を開けていた。