さよならさえも、下手だった
私から銃を引き離すように遠ざけ、唇を強くひき結んで警告した。
「やめとけ。おもちゃじゃないんだ」
その態度は昨日のあたたかくて優しいものとはまったく違った。
これがおもちゃじゃないことぐらい、私にだってわかる。
枕元からメモ帳を引き寄せ、急いで言葉を綴る。
《ごめんなさい》
私の願いはばれてしまっただろうか。
だったら早く、実行して。
私の願いを知ってしまっただろうか。
彼には知られたくなかった。
ふたつの想いが交差して、私をがんじがらめに縛りつける。
頭の片隅に、小さな痛みが宿った。
「わかったならいいんだ」
そう呟き、彼はほんの少し表情を緩める。
けれどこのわずかな変化も、傍目にはまったくわからないのだろう。