さよならさえも、下手だった
声帯の病で声が出なかったという、彼らの娘。
その病気さえも再現して何が楽しいの。
彼らは私に危険なことを何一つさせようとしなかった。
壊れないように、傷つけないように、私からすべての障害を取り除いた。
そんなに、私を”音”だと思い込みたいの?
だったら捨ててやる。
こんな声も、哀しいと感じる正常な心も。
それぐらい私は愛情を渇望していた。
何でもいいから愛してほしかった。
たとえそれが本の中で見た、温かい世界ではなかったとしても。