さよならさえも、下手だった
夜十:殺し屋とお人よし
「付いてこい、音都。面倒見てやる」
なんて無責任なことを言ってしまったんだろう。
殺し屋の俺がこんな奴の面倒を見るなんて馬鹿げてる。
音都が寝ている間に捨てていくか。
そう思っていたけれど、あんな笑顔を見せられたらそんなこともできなくなった。
控えめな足音が俺の後をついてくる。
誰かと一緒にいること自体、とても久しぶりだった。
音都の両親を殺した返り血で染まった銃を拭きながら思う。
こいつは何も言わない(言えない)けれど、俺に恨みを持ってはいないんだろうか。
自分の両親を殺した相手だというのに。
「…なあ、本当によかったのか?俺が怖くないのか?」
音都はきょとんと俺を見つめた後、首を横に振る。
あぁもう、会話が成立しない。
何か書くものが必要だ。