後ろの少年
僕の存在は、妻にとってなんだったのだろう。


そんな風に僕は思い始めた。


こんなんじゃ、親子三人酒を飲むどころか、良哉の命も危ない。


そう思った。


妻には妹がいた。それが秋穂だった。
 

妻は秋穂のことは忘れていなかった。


家に様子を見に来る秋穂の腕にすがって、まるで赤ん坊みたいに甘えていた。
 

妻を見る秋穂の目は、妻ではなく僕を見ていた。


助けて。


そう言っているみたいだった。


良哉は秋穂が育てたみたいなものだった。


妻はもちろん、知らない子と思っている良哉を遠巻きに眺めているだけだったし、面倒なんてみるはずがなかった。
 

自分の家の中には、妹と、知らない者たちがいる。
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