桜空
しばらく歩いて空の家に着いた。
そして
「水野!!水野っ!!開けて!!私よ!!彩っ!!」
彩はドンドンと空の家の扉を叩きながら言っている。私は放心状態。
ガラッ
「――おー桜!!…と彩!?お前なんでここに…」
「久しぶり!!水野っ!!」
私は軽く空に会釈するとうつむいた。
彩は空の近くにいる。
「お前なにしてんだよ〜加賀から歩いてきたのか〜?」
空も親しそうに彩の頭を撫でている。
いつも私にするように…
やめてよ
そんな風に私以外の女に触れないで
優しくしないで
「――ごめん、私用事思い出したから帰るわ」
「えっ」
私は2人にそう言うと素早く背を向けた。
「桜っ……」
「バイバイ」
私は振り返らずにそう言って走り出した。