桜空

しばらく歩いて空の家に着いた。
そして



「水野!!水野っ!!開けて!!私よ!!彩っ!!」



彩はドンドンと空の家の扉を叩きながら言っている。私は放心状態。



ガラッ



「――おー桜!!…と彩!?お前なんでここに…」



「久しぶり!!水野っ!!」



私は軽く空に会釈するとうつむいた。



彩は空の近くにいる。



「お前なにしてんだよ〜加賀から歩いてきたのか〜?」



空も親しそうに彩の頭を撫でている。



いつも私にするように…



やめてよ



そんな風に私以外の女に触れないで



優しくしないで



「――ごめん、私用事思い出したから帰るわ」



「えっ」



私は2人にそう言うと素早く背を向けた。



「桜っ……」



「バイバイ」



私は振り返らずにそう言って走り出した。



< 116 / 211 >

この作品をシェア

pagetop