桜空
「――こんな所に来てどうするの?市之助」
着いた場所は城の物置だ。ここは昼でも少し暗くてほとんど誰も近寄らない。
市之助は黙ったままら、喋ろうとしない。
「……市之助?」
私はそう言いながら市之助に近づいた。
ガシッ!!
「!?」
私はいきなり市之助に腕を掴まれたのでびっくりしてしまった。
「い、市之助!?どうしたの…」
「姫様は……水野のことがお好きなのですか…?」
「え?」
何言ってるの?
どうして空のこと…
「な、何言ってるの?どうしたのよいきなり…」
「答えてくださいよ!!」
いきなり大声でそう言った市之助に体がビクッと反応した。
「…………」
「姫様……」
市之助は真っ直ぐに私を見つめた。