桜空
「……ねぇ、空のご両親は…どんな人なの?」
私はなんとなく聞きたくなって空に声を向けた。
「ん〜…俺の両親は…父は仕事仕事でほとんど家にはいなかったし母は…俺が8歳の時に亡くなったよ」
「えっ…お母様が?」
「あぁ。昔から体が弱くてな…」
そう言った空の表情はなんだかとても寂しそうだった。
「ごめんなさい…辛いことを聞いてしまったわね…」
そう言って私がうつむくと、空は私の顔を覗き込んだ。
「な〜にしょぼくれてんだよ!!別に気にしてねーよ!!あ、それに家に行けば姉貴がいるから安心しろよ!!」
空は私の頭をポンポンと撫でると前を向き、歩き出した。
空……
お母様がいなかったのね…
じゃあ私と一緒ね。
でも空はまだ死んだお母様のことは知っているみたいね。
私はと言えば
顔どころか
どんな人だったのかも
何も知らない――…