桜空

――城。



いつも見慣れているハズの城がなぜか今日は牢屋くらい恐ろしく見える。



これから父とどんな話し合いになるのか…



そう考えただけで気が重くなる。


「――…殿様のお部屋までは私がご一緒するわ。中にはあなた達、2人で入って」



「分かった」



私達がそう返事すると海に続いて城に入った。



「……というかあなた達、今までどこにいたのよ?」



海が前を向いたまま聞いてきた。


「えっと〜…」



私は戸惑った。



「僕が連れ出したんです」



「……え?」



海が驚いたような声を出した。
< 196 / 211 >

この作品をシェア

pagetop