桜空
ちょっと歩いて、ついに着いてしまった。
将軍の間。
「――じゃあ、あたしはここまでよ。2人とも健闘を祈るわ」
海は私達に言った。
「……行こう桜」
私は空に手を握られ、不安をかきけした。
「――えぇ」
――「殿様、失礼致します、姫様と水野でございます」
海はそう言うと扉を開けた。
ガラッ
「……入れ」
海はアイコンタクトで“頑張れ'そう言ってるようだった。
私達が部屋に入ると海は扉を閉めた。
「……………」
目の前には父の姿。
無表情で冷たい瞳で私達を見つめている。
「……お父様、話があるの」
私は沈黙を破るように父に話しかけた。
「……話?」
父は低く囁いた。
「えぇ。どうしても分かって欲しいことがあるの」
私は負けじと父を真っ直ぐに見て言った。