桜空
「……私、空が好きなの。」
「…………」
「お父様がこれから先、どんな男と私を結婚させようとしたって私は絶対にしないわ。空じゃないと無理だから。」
「殿様」
空が話し出した。
「私も…姫様を好きになってしまいました…この恋は許されないと分かっていました。けれど…私にはもう姫様しか愛せません。姫様でないと愛する意味がないのです」
「……水野…優秀なお前まで…」
「…申し訳ありません…」
空は頭を下げた。
「お願いっ…空との恋を許して…お願いします!!」
私は深く頭を下げた。
「私からもお願いします!!」
空も頭を下げた。
もうがむしゃらだった。
みっともなくてもいい。
世間体なんてどうでもいい。
ただ“空と一緒にいたい。'
この気持ちを父にぶつけた――…