桜空
――「両者前へ」
審判が指示をする。
私と春さんは向かい合わせになり、お辞儀をした。
そして私は心を落ち着かせる。
勝ちを急ぐな…
勝ちを急ぐな…
これは私の剣士としての真義だ。昔からこれだけはいつも心に置いている。
剣を構えているときだけは姫であることを忘れられるから…。
そして剣を構えた。
集中する。
「――はじめっ!!」
審判の声を合図に私と春さんはバッ!!と離れた。
私は勢いよく春さんに向かっていく。
「はぁぁぁ!!!!」
ガキンッ!!
剣がぶつかり合う。
でも私は構わず、続ける。
「やぁぁっー!!」
春さんも負けじと私に攻撃してくる。
私は必死に剣を振る。
隙を見せないように。