桜空
「――桜…?」
俺はなんだか桜に呼ばれたような気がして振り返った
桜は、俺の心に入ってきた初めての女の子だった。
今までいろんな女が俺に近づいて来たけれど誰もが俺の中身を見ようとはしなかった。
みんな見た目で判断し、そして去っていく。その繰り返し……
次第に俺は誰かを本気で愛すなんてバカらしいと感じるようになっていった。
でも……ある日突然、運命の出会いを果たした。
久喜桜。
色白、華奢で小柄。
お姫様、そんな言葉がピッタリな可愛らしい女の子。
しかも最近知ったことだけど彼女は将軍家・久喜家の一人娘であり、姫だった。
彼女は俺のためを思って身を引こうとしたらしい。
でも俺はそんなこと許さなかった。
初めて自分から求める女だから。
絶対に俺だけのものにしたいから。