桜空
「ありがと、空……優しいんだね」
私は小さな声で言った。
「カッコよかったよ、桜…俺なんかよりずっと綺麗な型してた」
「そっ…そうかなっ」
私は照れ臭そうに言った。
「こんなに立派に殺陣が出来る姫様がいるなんて、久喜家も自慢だな」
空は微笑んだ。
「殺陣は……唯一私が私でいられたことだったから…」
「……城では…よく練習してるんだろ?」
「一応ね…私の父は殺陣が苦手なの。だから“殺陣なんかやってる暇あったら勉学に励め!!'とか言ってくるのよ(笑)」
「そりゃあ大変だな(笑)」
私達は笑いあった。
あれ…?
こんなに元気に笑えたのはどれくらいぶりだろう。
城に閉じ込められていた時は心から笑えたことなんかなかった。
空は私が無くしかけてた大事なモノをくれたね。
ほんとに感謝してるよ