桜空
――そして次の日の夜、悪党の隠れ家。
「いい?2人とも。身の危険を感じたらすぐに逃げること。そして中田屋を襲った悪党を探し出すこと。この2つを忘れないで。」
海は真面目な口調で言う。
「うん、分かった!!」
「おう」
私と空は返事をする。
「じゃあ行きましょう!!」
私達は隠れ家の屋根を登った。
「――でさぁ」
「あはは!!ほんとかよ〜」
悪党の声が聞こえる。
「隠れて!!」
海は指令をする。
私達は息を殺しながら悪党達をやり過ごす。
「しっかし悠仁様はすげぇよなぁ〜お一人であの中田屋を殺っちまうなんてさー」
えっ……?
今……なんて……?
「さっすが悠仁様だよな〜まだお若いのにほんと尊敬するよな〜!!」
「だよな〜カッコいいよな〜!!」
「大丈夫か?桜」
空が私の肩を抱きながら心配そうに問いかけてくる。
「うん……大丈夫…」
私は消えそうな声で言う。
「桜!!水野くん!!ちょっと」
海は小さな声で私達を呼ぶそして暗い茂みに隠れた。
「確か…悠仁、とか言ってたわね…中田屋を襲ったのは」
「あぁ…しかもそいつ1人で殺ったらしいな…」