桜空
「どっ…どしたの…」
私は目をそらしながら言った。
「……新条と闘おうとする心意気はいいと思うよ。でも頼むから無茶はしないでくれよ」
空は私に言い聞かせるように言ってきた。
「……うん…分かった」
私はただ、うつむいてそう返すしかなかった。
いつもそうだ。
空のあの綺麗な顔に、真っ直ぐな瞳に見つめられたら何も言い返せなくなる。
あの吸い込まれそうな瞳に虜にされて…
私は空の言うがままに動いてしまう。
あの瞳を見たらそれが最後。
私は自分の意見なんかどうでもよくなって、空の瞳をただ、見つめる。
しばらく見つめ合っていると空がゆっくり顔を近づけてきた。
私はゆっくり目を閉じた――…