スー
やがて私の村も襲われた。顔を緑色にペイントした金髪の迷彩服のアメリカ兵たちが
音もたてずにしのびこんできた。
私とスーはパパとママにジャングルに隠れていなさいと言われた。

次の朝、パパとママは首なし死体で沼に近所の人たちと一緒に浮かんでいた。

村はほぼ全滅で、葉の揺れる音と鳥の声だけしか聞こえないくらい静かになっていた。

その夜は怖くて眠れなかった。
スーと一緒にジャングルの葉にくるまって寝た。しかし彼女はこの時も、一緒に寝たくないといって、私をつきはなした。

その夜
スーはアメリカ兵たちに見つかった。

私は木の影にいたから見つからなかった。アメリカ兵の足音がした瞬間、私ははっとおきて洞穴に隠れたけど

スーはダメだった。

ダメだった?

ちがう
彼女は逃げようとしなかったのだ。

7人くらいの緑色のアメリカ兵に手と足全ての爪を剥がされて、スーはまわされた。
アメリカ兵にはベトナムの言葉がわからない。だから彼らにはスーが苦痛に悲鳴をあげているとでも思っていたのだろう。実際は違ったのだが

「犬の私を抱いてくれるの?うれしい、うれしい、うれしい。もっときて」
足を開いて待ち構えていた。

スーは爪を剥がされても腕を切断されても肋骨を折られても、笑いながら叫んでた。

アメリカ兵が引き揚げたときには彼女の死体は原形をとどめていないほどに凌辱され、ボロボロだった


それでも裂けた口はなんだか笑っているようにも見えた。
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