甘くも苦い誘惑に溺れて


実家へ着くと彰ちゃんは真っ先に、私の家族の遺影へと手を合わせる。



私はその姿がたまらなく嬉しくて、後ろから彰ちゃんの背中を見つめた。



今見つめているのは離れて行く寂しい背中じゃなくて二人の距離を表す背中。




「…優菜……話しがある」




仏壇へ手を合わせ終えると彰ちゃんは立ち上がり私を見つめた。




「…話って……何…?」




…まだ…何かあるの…?



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