甘くも苦い誘惑に溺れて


他愛もない会話をしながら拓也と腕を組んで歩いていると、擦れ違う一組のカップルらしき人に目を向けた。



この香水の香りは…覚えてるし…あの独特な雰囲気の人は…まさか…。




「……嘘…」




私の予感は的中し、この前ホテルで一夜を共にした彼だった。



相変わらずスーツ姿で髪を後ろへ流していて迫力のある背丈。



また…こんな形で、それもこんな所で会うなんて…。




「優菜?どうしたの?」


「う…ううん。何でもないわ」




通り過ぎ様とした矢先の事、男と視線がぶつかってしまった…。



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