灰かぶり姫 -spinoff-
「…っ、雪なんか…どこにでも行けばいい…!さっさとおらんくなったらいい…!」



最後の方は泣き叫ぶといった表現が正しいかもしれない。


そんなにハッキリと拒絶されるとは思ってもみなかった俺は、もうこの場所に美由紀と居る勇気がなくなっていた。



最後に許されるなら。


謝罪の言葉だけでも聞いて欲しい。




美由紀の涙を手で拭えば体を強ばらせて目を見開いた。


昔は涙を拭えば途端にニッコリと笑ってたのに。


今ではそれすらも叶わない。



「……今までごめんな。もう、お前の前からおらんくなるから。誰もお前の事苛めたりせぇへんから。やから、もう泣かんでえぇよ」




たかだか中学生の自分が、いきなりの転校にどれだけ足掻いたって力など全くなかった。


だけど、例え抵抗できたとしても。


転校を免れたとしても、美由紀にここまでハッキリと拒絶されていたら俺はきっと転校を選んでいたかもしれない。
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