灰かぶり姫 -spinoff-
転校してきてから、特に不憫な事はなかった。


関西の人間というだけで珍しがられたし、もともと人に取り入るのが得意な自分にとって、新しい場所で友達を見つける事は対して難しい事でもなかった。


だけど、どれだけはしゃいだところで、どれだけ笑ったところで心の奥底に残る虚無感が取り払える事はない。



気にはなっている。


それは会えなくなってからずっと。


元気でやってるか、とか。


もう、泣いてないか、とか。



それと同時に大きく後悔の念が押し寄せていた。


本当はもっと優しくしたかったかもしれない。


ヒーローで居たかったのかもしれない。


いつまでもヒーローでいさせてくれなかった美由紀に自分勝手に腹を立てていただけかもしれなかった。
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