灰かぶり姫 -spinoff-
葛西 美由紀(カサイ ミユキ)。


生まれた時からのお隣さん。


いわば幼なじみ。




昔の俺はそれはもう、可愛かった。


美由紀を苛める奴がいればそいつを逆に殴りとばしてやったし、美由紀が迷子になれば暗くなるまで探し続けた。


美由紀にとって自分はヒーローなんだと疑わなかったんだ。



その均衡が崩れたのはいつからだったか。



美由紀が女の友達と遊びたがるようになった時?


一緒に風呂に入るのを恥ずかしがりだした時?



今となってはもう思い出す事すらできない。



ただ、言えるのは。


気付いた時には俺はすでに美由紀のヒーローではなくなってしまっていたという事実。

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