灰かぶり姫 -spinoff-
「雪!お前めっちゃ久しぶりやんけ!」


「おー、元気しとったか?」



今日帰ると連絡を入れてあったからか、待ち合わせ場所に行けば仲の良かった連中が皆集まってくれていた。


その事が嬉しくて、いつも以上にはしゃいでしまう。


その日から、男子と女子何人かで毎日遊びまくった。



プールや海。


夜には花火。


何日かは男だけで集まって誰かの家に泊まったり。



楽しかった。



だけど、美由紀が居ない。


女子の誰かが声をかけたらしいが美由紀は一度も現れる事はなかった。



大阪最後の日となって、このままじゃいけないと思った。


何の為に自分はここに来たのか。



…このまま向こう戻ったら俺男ちゃうやろ。



携帯を手に取って、ずっとかける事の出来なかった番号を映す。


恥ずかしいけど、めちゃくちゃ格好悪いけど、手が震えてた。



………俺からの電話なんか出てくれへんかも。



そう思った時、機械越しに懐かしい声が聞こえてきた。
< 32 / 85 >

この作品をシェア

pagetop