灰かぶり姫 -spinoff-
『……もしもし?』


「あー…、俺。雪やけど…」


『…うん』


「…久しぶり」


『うん…、久しぶり』



勢いづいて電話をかけてみたものの実際にその声を聞けば何と話せばいいかわからない。



…俺、ほんまダサい。



「あのさ…今こっち帰ってきてるんやけど…明日帰るねん。んで…ちょっと会われへんかな?」


『え…あ…』



機械越しでも美由紀が困ってるのだとわかってしまう。


それが少し辛かった。


以前の自分なら、無理矢理にでも呼び出してただろうに、何故かそれが出来ないでいる。


それをしてはいけないと思ってしまっている。
< 33 / 85 >

この作品をシェア

pagetop