灰かぶり姫 -spinoff-
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―中学2年生―
父親が社長をしてるにも関わらず、俺がテストで赤点以外とった事はない。
父親の会社は年の離れた兄貴が継ぐだろうし、両親もそのつもりだと知ってる。
兄貴は頭もいいし、何より優しい。
自分とは人種からして違うんじゃないかと何度も思った。
だけど、写真を見れば周りの人間は「こんなソックリな兄弟見た事ない」と口を揃える。
同じ見た目でも中身が全然違う俺は遠回しに否定されているのだろうか。
だけど、別にそれすら構わなかった。
兄貴のおかげで嫌いな勉強を無理強いされる事なんてなかったし、兄貴みたいに中学から受験させられる事もなかったんだから。
毎日毎日、放課後まで友達とサッカーをして泥だらけになって家に帰る。
それが俺の日課だった。