灰かぶり姫 -spinoff-
「あいつら上手くいったらえぇねんけどなぁ」



自分と似た境遇の2人。


自分が上手くいく事はなかった所為なのか、その気持ちは強くなっていた。



「そだね」



淡泊に返した野沢ちゃんだけど、きっと気持ちは同じハズだ。


彼女はいつだって美姫ちゃんの事を心配してるんだから。



「大阪はどうだった?」


「ん、久しぶりに友達と会って楽しかった」


「そう」



頷いてくれたハズなのに野沢ちゃんの目にほんの少しの疑惑が浮かんでいる事には気付いていた。


だけど何も言わないから俺もどう返せばいいのかわからず、しばらくの沈黙が続く。


それを破ったのは野沢ちゃんだった。
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