灰かぶり姫 -spinoff-
「何…で?俺淋しいとか思った事あらへんよ。言うたやん、こっちにも友達おるしって」



積み上げてきた何かがガラガラと音を立てて崩れていく。


大阪を離れて、こっちに来てからずっと明るく振る舞っていた。


それが俺なんだと、周りは疑う事もしなかった。




誰も気付かなかったのに。


本当は淋しくて仕方なかった事。


美由紀だけじゃない。


仲の良かった友達に会いたかった。


俺の居なくなった場所で俺以外で集まって騒ぐ仲間。


想像しただけで孤独を感じ、その分周りに明るく振る舞った。




今までそんな事一言も言わなかったクセに。


どうして美由紀とあんな事になった今に限って、それを口にするんだ。
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