灰かぶり姫 -spinoff-

気付けば扉を勢いよく開けてしまっていた。


目から涙が落ちようがそんなのお構いなしだった。



最近よく泣いてる気がする。



それでも、自分の気持ちを口にすれば一瞬の間の後２人して笑い出した。



…笑うとか酷いやろ。



体に温もりを感じ、美姫ちゃんに抱きしめられたのだとわかった。



…俺ほんまガキっぽすぎる。



そう思いながらも「ごめんね、雪ちゃん」とあやすように言ってくれた美姫ちゃんにホっとしつつも「わ…わかればえぇねん」なんて可愛くない言い方をしてしまう。


そのまま野沢ちゃんに文句を言ってやった。


そもそも人の家に来てその家の主を追い出してまで話しをするってどういう事だ。


文句を言ったハズなのに彼女は笑った。


それもとびきり優しく、夏休みに美由紀との事を聞いてくれた時と同じ笑顔で。


不覚にも「綺麗だ」なんて思った事は俺だけの秘密。