灰かぶり姫 -spinoff-
「何、ついでに言ってんの。大体美由紀はどーした」


「……ごめんなさい」



…半分本気で言ってみてんけどな。



心の中は未だに美由紀に覆い尽くされている。


だけど、今ここに居る野沢ちゃんを他の誰よりも特別に思ってるのも確かで。


もし彼女と付き合えば美由紀を忘れていけるんじゃないか、なんて思ったんだ。



「いつか、本気で私の事好きになれたらちゃんと言いにおいで。その時はもう少し考えてから返事してあげるから」



全てを見透かした顔。


優しい笑顔。


そんな彼女に胸が少し温かくなった気がした。



「…約束?」


「ん、約束」



いつになるかもわからない約束。


それでも自分が前に進む為の希望にも思えてしまう。
< 83 / 85 >

この作品をシェア

pagetop