空色
ガーッ…

デパートの自動ドアが開く。

私達が店に入るとお客さんがチラチラ見てきた。

ずぶ濡れだもんね…

私達の手は繋いだまま。

そう考えたらなんだか顔が赤くなる。

私達は2階に上がり、服屋に入った。

『…よし!おまえの好きなの選んでいいぞ。俺が買ってやる』

『え…!?…いいよ自分で買うから!』

『俺がおまえに買ってやりたいの…』

顔を赤くしながら康也が言った。

『…わかった…』

そう言うと私は、服を見に行った。

なるべく安いやつ…どこだ?

さがしていたら、康也が私の所に向かって来た。

『なんだ?まだ決まんないのか?』

『…あ…うん…』

『よし!じゃあ俺が選んでやるよ』

『ふえ?』

そう言うと服を選びに行ってしまった。

数分後、服を持って私の方にやって来た。

『よし!じゃあこれに着替えろ』

『…うん…』

私は試着室に向かった。

カシャ…

着替え終わると私は試着室のカーテンを開けた。

『どう…?可愛い?』

『可愛いよ』

え……そんなストレートに言われると照れるじゃん…

『服がな!』

『ひどーい!!』

前言撤回!

少しでもドキッとした私がバカだった。

『バーカ…似合うよ…可愛い…』

そう耳元で言うと、康也は会計をしに行った。

ドキン…

ヤバイ…何でこんな…ドキドキしてんの?

ただ“可愛い”って言われただけなのに。

それにこの音は“あの人”にしか鳴らない音なのに…

少し苦しい気持ちを抱えながらも、私は康也の元へ向かった。



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