好きな人争奪戦
やっと撒けたのは、草に茂っている所だった。
辺りには花も咲いていた。
「あの…」
と引っ張ってくれた人に声をかける。
「あ、えあ、ごめんなさい!!手…触ってしまって…ー。」
と何回も謝ってきた。
女の人だった。
メガネで二つ結びの。
ダサいかもしれないけれど、声は非常に可愛らしい。
「あ、イヤとんでもないっす。むしろありがたかったです。」
とお礼を。
「すいません。ついとっさに…危なさそうだったから。」
と顔を赤く染めて言うもんだから、『ドキッ』とした。
軽いやつ、と思われてしまうかもしれないけれど、惚れてしまった。
マジ可愛。
なんだしこの可愛いの!
俺は無造作に彼女の髪を撫でてしまっていた。