好きな人争奪戦
これでいいんだ。
サヨナラ…俺の高校…。
もう姫の靴はボロボロだった。
それほど走った事が分かる。
俺は『そっ』と自分の靴を差し出した。
「えっ…?」
「俺の靴履けよ。裸足よりはマシだろ。」
「いや…北村くんはどうするの?」
「俺は別に汚れたって構わねぇ。けど、姫はいつも綺麗でいて欲しい。」
姫は一瞬驚いた顔をした。
けれどすぐに
「そんな着飾った姫、私はイヤ。」
と透いた瞳で言ってきた。
「え?」
「だって、明るく元気があったから、王子様は姫を好きになったと思う。姫は着飾ったらただの人形じゃない?」
「…そうだな。高木の言うとおりだ。」
と言って靴を履く。
「じゃあいこ。」
「あぁ。」