俺様彼氏の意地悪な唇(仮)
「今日は腹減ってないんだ。ごめんね。また今度」
「え―…しょうがないなぁ。また今度絶対だよ?」
職員室横の階段から聞こえてくる会話。…似た会話、朝聞いたような…。
進めた足を止めて、2歩バック。壁に引っ付いて聞き耳を立てるあたし。
我ながら趣味悪。
「じゃーねぇッ。ばいばい♪」
「じゃぁ」
少し見える女子の塊と手を振る‘誰か’。
…あの後姿と髪型…見たことあるようなないような…。
あるような、ないよう…な。や、あるな。
コツ、コツコツ…
「(やば!)」
こっちに向かってくるのが見えて、あたしはとっさに階段の物置部屋のドアに隠れた。
行った…かな
コツ
まだ居るの?!!!バレませんように…!!!
神様に祈りながらあたしは息を殺した。
なのに、祈った効果もなく足音は近づいてくる。
コツ
その足音はすぐそこで、階段でなっていた。やば…超近…。
って…あたしなんで隠れてるんだっけ???何も悪いことしてないのに…?
ん?
自分でも頭を抱えるほど、理由がない。ちょっと盗み聞きしたけど、普通の会話だったし…。