屍都市
何とかゾンビの群れを振り切り、ようやく走るのをやめて一息つく。

倒しても、引き離しても、どこまで行っても群がってくる死体の群れ。

どこまで逃げれば振り切れるのか。

この悪夢はいつになったら覚めるのか。

まだ陰島の中にいるような気分だ。

本当は先程までの日常の方が夢で、自分は今も陰島に取り残されたままなのではないか。

そんな不安に呼吸が苦しくさえなる。

俺はまた生きて街を脱出できるだろうか。

今度は…俺が死ぬんじゃないのか?

俺が島で見殺しにした、あの彼女のように…。

思い出す度に体が震える。

…ふと顔を上げる秀一。

その視界に。

「!」

何か動く物があり、彼は咄嗟に警棒を構えた。

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