屍都市
視界の隅をよぎる影。

速い。

ゾンビの歩行速度とは明らかに違う。

小走りに走るような速度。

注意深く目で追う。

それは。

「子供…?」

まだ小学生にもならないような幼い男児。

そんな子供がたった一人で、ゾンビの徘徊する街中を歩き回っていたのだ。

彼は秀一には気づかないまま。

「あ…おい!」

門を潜ってある施設の中へと入っていく。

『美原市立動物園』

門にはそう刻み込まれていた。

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