屍都市
あまり長居は良くない。

いつここにもゾンビがなだれ込んでくるかわからないのだ。

「さぁそろそろ行こうか雄大。一緒にお前のお母さん探そう」

「うん」

共にベンチを立ち上がった時だった。

「っっっっ!?」

思わず耳を塞ぐような咆哮が、動物園の敷地内から聞こえた。

獣の咆哮。

しかも争うような、緊迫感を感じさせる吠え声だった。

何だ…?

園内の動物が吠えているのか…?

「……」

雄大が不安そうに秀一の顔を見上げる。

秀一は。

「行ってみよう…離れるなよ、雄大」

雄大の手をしっかりと握り締めて歩き出した。

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