屍都市
ゾンビ達は感情も恐怖も感じない命知らずだ。

動くもの、生きているものであれば、何でも貪欲に食らおうとする。

大方ゾンビの方からライオンの檻に近づき、事もあろうに百獣の王を捕食しようとしたのだろう。

だが、捕食者としてはライオンの方が遥かに格上だ。

結果としてゾンビは鉄格子の向こうからライオンの牙の餌食となったのだ。

メキメキと、ゾンビの骨を噛み砕く音が聞こえる。

秀一ですら吐き気を催すような生々しい音。

しかし秀一達にとっては、ライオンは味方になってくれたようなものだ。

秀一達を襲うゾンビを食ってくれたのだから…。

そう思った瞬間。

「!!!!!」

ビクン!ビクン!と。

ライオンが大きく痙攣を起こした。

苦しげに唸り声を上げ、檻の中に這い蹲り、悶絶する雄ライオン。

彼は苦悶の咆哮を上げ、やがて檻の中でグッタリと動きを止めてしまう。

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