屍都市
『天野司』と書かれた名刺を手渡され。

「「はぁっ!?」」

二人組の女子高生は揃って素っ頓狂な声を上げた。

右、早川 理子(はやかわ りこ)。

左、九重 華鈴(ここのえ かりん)。

共に美原高等学校に通う一年生。

これからまさに登校する所だった制服姿の二人に声をかけるとは、天野の女性好きも筋金入りだ。

「私達学生です!未成年なんですけど!」

理子が強い口調で言う。

「女子高生でも、たまには飲みとかやるんじゃね?」

軽薄な口調で返す天野。

「やらないわよ!あっち行けホスト!チャラ男!」

華鈴がシッシッと手で払う仕草を見せる。

「そんなつれない事言わないでさァ」

更に言い寄る天野。

「いこ、華鈴」

理子は華鈴の手を引っ張って、人混みも何のその、抜群のダッシュ力で駆け抜けた。

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