屍都市
なのに今、理子は初めて親友の華鈴を恨んでさえいる。

「ねぇちょっと!やめとこうよ華鈴!」

分岐路に差し掛かった所で、理子は必死に華鈴を制止している。

しかし華鈴は聞く耳を持たない。

「この街の異変はきっと臨海公園に原因があると思うの。何日か前に、臨海公園に死体が上がったってニュースがあったじゃない?あれとこの異常事態は無関係じゃないと思うのよ」

「だからって何でそれを華鈴が確認しに行くのよっ!そんなの警察の人か誰かに任せておけばいいじゃん!」

理子と華鈴は、警察でもなければ特別な使命を与えられた物語の主人公でもない。

ただの女子高生に過ぎないのだ。

「どうせ興味本位で見に行きたいだけでしょ?いい加減にしてよ、オカルト好きも程々にして!」

理子の口からきつい台詞がこぼれ出る。

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