屍都市
華鈴の表情が変わった。

一瞬、傷ついたような表情になる。

が…。

「あははっ、そうなのよ。こんな時なのに好奇心が疼いちゃってさ!」

屈託なく笑った後。

「理子は学校にでも行っててよ。あそこは災害があった時の近隣の避難場所にもなってるしさ。多分安全だからさ!」

そう言い残して、華鈴は臨海公園へと続く道の方へと一人走っていく。

「あ…」

しまったと思った時にはもう遅くて。

呼び止められないまま、理子は華鈴の背中を見送る他なかった。

入学以来、いつでも一緒に行動していた二人。

だがこの緊急事態の最中、二人は別々に行動する事を余儀なくされたのである。

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