屍都市
「えっ…?」

理子がハッと顔を上げる。

「おじさん…小野寺のおじさんを知っているんですかっ?」

「おじさん…?」

驚いた顔をする幸羽に、理子は小野寺亮太が親類である事を話す。

「小野さん、おじさんは…おじさんはどうしちゃったんですかっ?母や父に聞いても、おじさんは行方不明になったとしか話してくれなくてっ…」

「…………」

理子の問いかけに、幸羽は口を噤む。

話そうかどうしようか、迷っている様子だった。

だが、言葉を押し出すように。

「小野寺先生は…一ヶ月前に依頼を受けて、陰島の病院に診察に行ったの…依頼自体は健康相談程度の簡単な仕事だったんだけど…」

幸羽は暗い表情でそう語った。

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