屍都市
それにしても複雑で入り組んだ下水道だ。

大した灯りもなく、辛うじて周囲の状況が確認できるという程度。

暗がりの中、ゾンビに突然襲われたりはしないだろうか。

視界がよくないというのは、如何に喧嘩慣れした聡でも不安を感じるものだ。

視覚に頼れない分、聴覚を活用するしかない。

僅かな物音にでも細心の注意を払い、聡は前へと進む。

このまま下水道を歩いていけば、もしかしたら美原市を脱出できるかもしれない。

ゾンビ達の蔓延する市街地に比べれば、この下水道でのゾンビとの遭遇率は格段に低かった。

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