屍都市
いわゆるドブネズミという種類の鼠。

この下水道を住処とする雑食性の鼠で、普段は同じく下水道に住むゴキブリや、流れ着いたゴミなどを食べて生活していた。

だが彼らは、この下水道に侵入してきたゾンビに噛み付いたり、ゾンビの死骸を口にした事で体内に寄生虫を取り入れてしまった。

その体躯が小さすぎる為に聡にはわからないだろうが、確かに鼠達の眼はゾンビと同じ特徴を持っていた。

白濁した、本能のみで動く化け物の眼。

小さな鼠とはいえ、彼らもまた凶暴なゾンビと化していたのである。

聡がその事に気づく間もなく。

「つっ!」

鼠の群れは聡に襲いかかった!

足元に噛みつき、体を這い上がり、何百何千という群れが聡の体中に群がる!

元々鋭く尖った牙を持つ鼠。

その牙を、貪欲な捕食本能のままに聡に突き立てる!

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