屍都市
せめてマンホールの外が安全かどうか。

体中の激痛を堪え、聡は外の状況だけでも確認しようと梯子に手をかける。

が、それも叶わず。

「がはっっ!!」

聡の首筋まで昇ってきた一匹の鼠が、その強靭な顎と鋭い牙で彼の頚動脈を噛み千切る!

下水を赤く染める流血。

聡はそのまま力無く倒れ込む。

最早鼠達を振り払う余力もない。

失血による意識混濁の中…それは走馬灯なのだろうか。

聡は夢を見る…。

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