屍都市
百や二百という数ではない。

恐らく何千、何万…。

腐敗して発生する蛆虫や蝿とは違う、華鈴がこれまでに見た事もない蟲が、うぞうぞと蠢いている。

その動きは、華鈴に悲鳴すら上げたくなるほどの嫌悪感を与えた。

「もしかして…これが秀一さんがメールで言ってた…寄生虫…?」

華鈴は口元を押さえたまま、思考を巡らせる。

…仮定してみる。

この死体が上がったと通報をした目撃者、そして駆けつけた警察官。

そのどちらもが、あの寄生虫に不用意に触れたり近づいた事でゾンビ化していたとしたら。

この死体の回収どころではない。

それどころか、そこから街にゾンビが蔓延するきっかけとなったのではないか。

となると、ここはこの美原市におけるゾンビ発生の災厄の地…!

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