屍都市
「何言ってるの!」

理子の声が震える。

「大事なノートでしょ!何で私に渡すの?自分で持ってなきゃ駄目だよ!」

嗚咽混じりの親友の声。

華鈴は少し俯き加減に首を横に振る。

…彼女の周囲は、完全にゾンビによって包囲されていた。

恐らくは理子の脚力を以ってしても、この包囲網からは抜け出せないだろう。

脚力で理子に劣る華鈴ならば尚更だ。

「諦めないで!今私が…!」

「来たら絶交するんだからっっっっっっ!!!!!」

公園に足を踏み入れようとする理子に、華鈴は鋭く叫ぶ!

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