屍都市
「誰か助けてぇっ!」

パタパタと軽い足音を立てて、構内を走り回る雄大。

山田は恐る恐るその様子を見ている。

(ああ…そんな逃げ方じゃ駄目だ…)

心の中で呟く。

(そっちは駄目だよ…もう別のゾンビが回り込もうとしている)

雄大の行動を、じれったく思いながら見つめる。

(違う、そっちじゃないよ…そっちに行ったら包囲されてしまうよ…)

どんなに山田が心の中で念じても、雄大にその言葉が伝わる事はない。

追い詰められ、囲まれ、どんどん逃げ場をなくす雄大…!

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