屍都市
山田達が駆け登った階段は、隣のホームへと向かう連絡橋に続く階段だった。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

派手に息を荒げながら、階段を昇り切った所で立ち止まる山田。

ゾンビが追って来る様子はない。

少しくらいなら休息をとっても大丈夫だろう。

「大丈夫?」

山田の顔を、心配そうに覗きこむ雄大。

(子供に同情されてたら世話ないな…)

山田は内心自嘲する。

雄大を助ける為に勇気を振り絞って飛び出してはみたものの、とてもカッコいい救出劇とはいかなかった。

ドタバタと混乱し、慌てふためいての救出。

映画やドラマのようにスマートにゾンビを蹴散らし、スタイリッシュなアクションを駆使して救い出すという訳にはいかなかった。

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