屍都市
とはいえ、勿論ここから先にもゾンビ達は群がっている。

下手をすれば地下鉄のホームに辿り着くまでにやられてしまう。

秀一からのメールで、僅かな傷も命取りとなる事を山田は知っていた。

「坊や、僕の背中に」

山田は雄大を背負う。

一気に地下鉄ホームまでノンストップで駆け抜けるつもりだった。

「うん」

大きな山田の背中。

しがみついていると、雄大は何故だかたまらなく頼もしく思えた。

物心つく前に亡くなってしまった父親とは、もしかしたらこういうものだったのだろうか。

子供心にそんな事を考えたりする。

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